その森は、神奈川県鎌倉市にあり、北鎌倉駅からしばらく歩いたところにあります。
北鎌倉といえば、円覚寺や縁切り寺としてグレープの歌にも歌われた東慶寺があるので、観光客が賑わうメイジャーな観光地というイメージが強いでしょう。
しかし、私たちが今回行った台峯の森は、ややマイナーなところです。
初めて行くなら、女性一人で入るのは避けた方がいいかもしれません。
…って、べつに危険なところではありませんが、迷子になりやすいです。
なぜ、そこに行こうと思ったかというと、「散歩の達人」という雑誌に、里山の風景が残された豊かな森と案内されていたからです。
雑誌には、台峯(だいみね)は昭和51年に大手不動産会社の宅地開発の計画が決まっていましたが、寄付金で少しづつ土地を買い取るなど、長年の市民活動が実って、平成16年に鎌倉市が市有地として保全することになったと書いてあります。里山の生態系を残していこうという鎌倉住民によって守られた特別な森…とのことです。
北鎌倉駅を降りると、観光客がゾロゾロと進んでいく方向と、逆の方向へ進みます。
前も後ろも誰も歩いていない住宅街の上り坂をしばらく歩いていくと、排水池があり、そこが森の入口です。
思いがけず、ここで富士山を見ることができました。
さらに坂道を上がっていくと、里山らしい風景が広がります。

展望台があるというので、そこを目指したのですが、森の中には標識も道しるべもありません。うす暗い道は人一人がやっと通れるくらい狭く、しかも分かれ道がたくさんあって、迷いました。
「こっちじゃないか」「いや、この道だろう」と行ったり来たり。意見も食い違ってウロウロしていると、藪がザザッと大きく揺れました。「イノシシ?!熊?!」とおびえながら見ると、畑仕事をしている男性でした(^^;)
この男性に展望台の位置を伺い、無事にたどり着くことができました。
…といっても、私一人ではたどりつけなかったと思います。聞いても道がわからないほど複雑なんです(--;)

若葉が美しく、とっても気持ちのいい場所でした。
さっきまでいた北鎌倉駅と横須賀線の線路が、小さく見えました。
ここでお弁当を食べました。
私たちの他に、男女8人くらいのグループがシートを敷いてお弁当を食べていて、隣のベンチには熟年のご夫婦がお弁当を食べていました。
そのご夫婦はこの近くにお住まいだそうで、時々この森に散歩にいらっしゃるそうです。
これから「谷戸の池」に行きたいと話すと、道を教えてくれました。
道はたくさんあるそうで「どこの道を行ってもどこかに出るから大丈夫よ」と奥様がおっしゃいました。
しかし、どこかに出てもそれがどこなのかわからないので、あまり冒険はしないで教わった道を素直に行くことにします。(行ければの話ですが)
お弁当を食べ終わり歩きだすと、私たちの前をさっきのご夫婦が歩いています。
分かれ道で待っていていくれ、「こっちですよ」と教えてくれました。
ご夫婦は「私たちはこっちの道に行ったことがないから、今日はこっちへ行ってみます」と暗い藪の中に姿を消しました。
教えてもらった道は、どんどん坂を下りる順路になっています。
途中、分かれ道がたくさんありましたが「右へ右へ行くように」と言われたので、そのとおり歩きつつも、「ほんとにこっちでいいのかな~」とまたまた迷子になりそうな気配。
何度も木の根っこにつまづきながら坂を降ります(>_<)
よいしょ、よいしょ。
木に覆われ、周囲の風景もわかりません。
雑誌の案内には、「谷戸の池には標識がないので見落とさないように」と書いていあります。
谷戸(やと)というのは丘陵地にある谷状の地形のことだそうです。
つまり、この森は小高い台地にあり、真ん中が谷のように低くなっていてそこに池があるんですね。
なので、北鎌倉から来た私たちは、坂を上がり坂を下り、また坂を上がり坂を下りて駅に戻る…ということになります。
さっきのご夫婦はどこへ行ったのでしょう。まったく見えませんが、他にも人がいません。この道でいいのか聞こうにも、すれ違う人もいません(@@;)
湿地が続きます。道はジメジメと湿ってところどころ水たまりがあります。
ぐっちゃら、ぐっちゃら。
トンボやクロアゲハが飛び、ウグイスが鳴いていました。
そしてやっと「谷戸の池」に到着!ヽ(^o^)丿
神秘的な池です。
小さい魚がいました。
大きな木が水面ギリギリに横たわって生えています。白い花を咲かせていて、その花びらが水面に落ちています。なんの木だろう?
湿地の中の細い道を進みます。
湿地にはセリの群生が。なつかしいです。
私が子供の頃には、セリは田んぼのあぜ道や小川のほとりにボウボウと生えていて、それを採ってきて母が茹でたりしていました。
東京に嫁いで、セリが八百屋さんで売られているのを見て、びっくりしました。
谷戸を過ぎると、急にアスファルトの道になり、魯山人庵跡地がありました。
北大路魯山人が最後の日々を過ごした住居跡だそうです。
さて、ここは谷間なわけですから、これからまた坂を上がるということですが…
この道が地図を見てもさっぱりわかりません。
地図が読めないわけじゃないですよ!アスファルトの道はここまでで、その先は道らしい道がないんです。Googleで地図検索はしてきたんですが、あれはアスファルトの道しか表示されないんですね~。航空写真ではうっそうとした樹木しか写ってないし…(^^;)
そして、「こっちじゃないか」「いやこっちだろう」とまたまた意見がわかれ…
とりあえずまっすぐ道(のようなもの)が続いているところを歩いて行ってみると、竹藪に入ってしまい…
「これは道なのかな~」と進んでいくと、行き止まりでした(^^;)
引き返し、やはり道なのかなんなのかわからないところを歩いて行ってみると…ゴミ捨て場にたどり着きました(-▽-;)
「これじゃないの?」と仲間の一人が指差した先には標識(?)のようなものが…
しかしこれ、風でグルグル回っちゃって、どっちを指してるかわからないし…この小屋の後ろのこれって……道ですか?(ーー;)
でも残るはここしかないので、行ってみることに…。
すると…
げげげ!
ものすごい斜面です。というより垂直に近いです。しかもこの縄につかまって登れってことみたいです。
しかし、縄があるってことはこれが「道」なんだということなので、登ってみました。
えっさ、ほいさ。
どんどん坂を登ると、森の中に入りました。
うっそうとした暗い森をどんどん歩いていきます。
「ちゃんと出口に出られるのかな~?
」とまたまた不安の声。
ところで、この台峯の森に入ってから出会った人間は、展望台のグループと隣のベンチの熟年ご夫婦だけで、その後ず~~っと歩いてきましたが、人っ子一人見えません。誰ともすれ違わなかったし、遠くに人を見ることもありませんでした。
しかし、ここで出会ったのです!
2頭の大型犬を連れた女性があちらから歩いてきました。
ここ、あの人の犬の散歩コースなんだ!びっくり!\(◎o◎)/!
と驚いていると、間もなく光が見えてきて…
森の出口へとたどり着きました。
ばんざ~~い
北鎌倉駅に11時に集合して、戻ったのは午後3時頃でしょうか。
さっさと歩けばもっと早く到着すると思います。
探検、そして冒険気分を味わい、また懐かしさも味わえた、台峯の森でした。
登り下りがあり運動にもなりました
この日歩いた歩数は22700歩。
静かな里山を求めてのんびり歩きたい人には、良い穴場だと思います。でもやっぱり、女性一人で行くのはやめた方がいいですね。…ってか、そんな人いなかったけど…(^^;)
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